📌 はじめに:同じ漢字でも意味が違う?
中国で働いた経験がある方なら、言葉の小さな違いが大きな誤解に繋がることを実感されたことがあるかもしれません。特に、日本語と中国語で同じ漢字を使うにも関わらず、その意味や解釈が異なる単語は「漢字の落とし穴」となりがちです。
今回は、ビジネス文書で頻繁に使う「以上」と「以下」について、日本と中国での解釈の違いと、私が同僚から学んだ誤解を避けるための対策をご紹介します。
1. 日本語の「以上」「以下」の厳格なルール
私たち日本人が学校で習う「以上」「以下」のルールは明確です。
- 「○○以上」:基準の数 を含む、それより大きい数 (≧○○)
- 「○○以下」:基準の数 を含む、それより小さい数 (≦○○)
例えば、「20歳以上」であれば 20歳ちょうどを含みます。このルールは、ビジネス文書や契約書、公的な通知において、非常に厳格に適用されます。
2. 中国語(日常表現)での解釈の揺れ
問題は、中国語の「以上 (yǐ shàng)」と「以下 (yǐ xià)」の日常的な解釈です。
私の同僚から指摘されたのは、特に日常的な会話や一般的な文書において、中国語の「以上」「以下」が、日本語の「超える」「未満」に近い意味合い、つまり基準の数を含まない解釈で使われることがしばしばある、ということです。
| 表現 | 日本語の解釈 | 中国語(日常)の解釈 |
| 5以上 | 5, 6, 7, … | 6, 7, 8, … (5を含まないことがある) |
| 5以下 | 5, 4, 3, … | 4, 3, 2, … (5を含まないことがある) |
「じゃあ、日本語と同じ意味にしたい時はどうするの?」という疑問が生まれます。
3. 📝 誤解を避けるための中国語での表現方法
中国語の文書において、「基準の数を含める」ことを明確に伝え、誤解を完全に避けるために、同僚が教えてくれた最も確実な方法は、漢字「及 (jí: および)」を付け加えることです。
✅ 基準の数を含める(≧ または ≦ の意味)
- 「5及以上 (5 jí yǐ shàng)」:5およびそれ以上 → 5を含める
- 「5及以下 (5 jí yǐ xià)」:5およびそれ以下 → 5を含める
この「及」という一文字を加えるだけで、「5 という数そのものを含みますよ」という意味が明確に伝わり、読み手による解釈のブレを防ぐことができます。
✅ 基準の数を含めない(> または < の意味)
基準の数を含めない、つまり日本語の「超える」「未満」の意味で表現したい場合は、以下の単語を使います。
- 「超过 (chāo guò)」:〜を超える(○○ >)
- 「不足 (bù zú)」:〜に満たない(○○ <)
4. 💡 まとめ:小さな違いがビジネスの信頼に関わる
日本語では「以上」「以下」が当然のように基準の数を含むため、私たちは無意識のうちにこの言葉を使います。しかし、中国語圏の同僚や顧客に送るビジネス文書でこの習慣をそのまま続けると、以下のような深刻な誤解を招く可能性があります。
- 納品数:「50個以上」を「51個から」と解釈される
- 価格:「1000元以下」を「999元まで」と解釈される
- 参加資格:「3年以上」の経験を「4年から」と解釈される
「漢字は同じだから通じるだろう」という油断が、後々のトラブルや信頼の損失に繋がるかもしれません。中国語で文書を作成する際は、
基準の数を含めるなら「及」を付けて「及以上」「及以下」
と表現する習慣をつけましょう。


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